ゲーセン裏話 第八話

何年ぶりの更新でしょうか。だんだん記憶が薄れているんですが頑張って思い出してみます。

暗黙の交代制

 当時はまだ景気のよろしい頃でしたので、狭い店にもかかわらず店員は基本的に2人体制でした。それに例の店長が外回りから帰ってくれば3人揃って、カウンターでタバコ吸いながらくだらない話をして時間が過ぎるのを待つわけです。客自体少ないから、客に呼ばれるなんてこともほとんどないわけで、夜の8時前に店長が帰ってしまえば店員2人が交代でタダゲーに興じるという暗黙のルールが出来ていました。3分で終わるゲームならいいんですけど、そのうちみんなうまくなっていきますから、1クレジットで何分も帰ってこなくなります。

私の順番

 もう一人がゲームから帰ってきました。さあ私の番です。鍵を開けてサービスボタンを押していつも通りリオンでふにゃふにゃやっていたところ後ろに人影が…

 「君はここの店員かね?
 「ええそうです、け・ど?

 振り向くと胸に"シェガ"のネームプレートが!知らない街からやってきた本部の偉い人、私が一度もみたことのない年配の怖そうな人がそこに立ってました。なんで今日?なんでこのタイミング?

 その後店長も駆けつけ、何十分も執拗な尋問が続きました。「ほかの人もいつもやってんじゃないのか、ん?」。まさか横にいる店長はコラムスが好きです、なんて口が裂けたら言えません。それに、隣町の大型旗艦店じゃ、店長とバイトが閉店から明方3時まで毎日やってる!心の中に響き渡る声なき声。結局、「はいはい、辞めます辞めます」という方向に。まあ、しょうがないですよねぇ。さよなら楽しかった日々よ。もう会うことはないんだね。青春の1ページをありがとう…そう思いかけた矢先のことでした。

 「今回は私の顔に免じて…

そういってくれたのは店長でした。動転していて詳しい流れは覚えてませんが、なんとかクビは免れることに。いい時代だったのか、何か不思議な力が働いたのかはわかりません。でも、やっぱり店長ありがとう!?この助け船がなかったら完全にダメだったわけですし。まあ、微妙なところではあるんですが(笑)

 ちなみに、後で聞いたところによると、同様のシチュエーションに遭遇した別の方は、見つかった直後に「いやー、やっぱりパンチボタンおかしいなー」と一言加え、そのままボタンを交換することで、この困難な局面を乗り越えたらしいです。それくらいトンチが効けば、私も苦労しないんですが(苦笑

 北国の秋は駆け足で、外は紅葉が真っ盛りの頃。まさかこの後訪れた本当の悲劇をこのときは知るよしもありませんでした。

第九話