Eyes for Details Vol.11 - Razoolaインタビュー2

インタビュアー:Juliano
Total Emulation

まず御自身について紹介してもらえますか?(年齢、仕事、住んでいる所など)

Razといいます。イギリスから引っ越してきて、今はフィンランドのトゥルクに、愛しの妻サリと住んでいます。年は31歳です。今は仕事はしていません。

エミュレーションに出会ったきっかけは?

もう大分前のことなので定かではありませんね。ただ、学生の頃にはもうやってたと思います。

お気に入りのアーケードエミュレータは何ですか?

うーん、それぞれに一長一短があるのでこれと言うことはできませんね。エミュレーションと言ってもいろいろな道をたどって来てます。シングルゲームエミュレータの頃の話になりますが、当時はRishgerに驚いて、ほとんどびっしりというくらいたくさんやりました :))

CPS2-Shockを始めたのはいつですか。またそのときの動機は何ですか?

実はCPS2-Shockを始めたのは私ではないんです。ただ、個人的にはそれ以前にCPS-2のプロテクトを調べてはいました。プロジェクトを始めたのはD-Zineさんという人なので、本当は彼が評価されるべきかもしれません。私はプロジェクト開始から数日後に加わり、D-Zineさんが抜けた後、私が管理をするようになったんです。動機ということですが、はっきりとしたものは無くて、CPS-2のプロテクトを破ることが何よりの私の趣味だったということです。ですから、CPS2-Shockが始まったときに、それに加わることはいい考えだと思いました。

解析の対象がCPS2だったのはなぜですか。また、他のシステムのエミュレータを書かなかったのはなぜですか?

自分にはエミュレータを書くだけの知識はないと思っています。僕は、68000専門のプログラマでIntelのアセンブラは全くわかりません。ハッキングについてはいつも興味を持っていました。コモドール64のゲームからRob Hubbardの曲を取り出したり、ラスタエフェクトをかけてかっこいいデモに仕上げたり、昔からやってました。正直なところ、ゲーム自体よりもそれをいろいろ解析するほうが楽しいと時々感じることがあります。

これまでのところ、一番難しかった部分はどこでしたか?

これといったところはありませんでしたが、EPROMエミュレータを買うためのお金がたまるのを待つのがつらかったです。なにしろ購入を決めてから7ヶ月もかかったんですから、このせいでかなり足が引っ張られました。サポート情報を提供してくれた人たちに感謝する機会があればと思っています。これなしでは今日までこぎつけられませんでしたから。

Razさんが書いた例のプログラムで、よい結果が得られたということですが、それについてもう少し詳しく教えていただけますか。どのように動作するのでしょう?

ええ、結果はよいものでしたが、動作の仕組みについて説明するのは少し難しいです。プログラム自体は4つのコンポーネントからできています。メモリービューア、解読済みの命令を実行したあとのデータ/アドレスレジスタビューア、プログラムROMスペースでの全アドレスに対して、65536通りの解読前と解読後の値を得るアタックプログラム、そして、ROM全体を解読済み状態にするアタックプログラムです。

Razさんのソフトは理論的にはエミュレータ上で動作させることができますか。もしそうだとしたら、Callusとか特別なCallusパッチとかMAMEなどでもう試してみましたか?

このソフトはちょっと変更を加えればエミュレータでも動作できます。スクリーンショットはこうして撮ったんです。ただし、エミュレーションでは68000の一部の命令がまだ実装されていないので正しくは動作しません。ですからデータも正しくは出力されません。

CPS-2 Shockのゴールはシステムを解読することであって、そのエミュレータを作ることではないわけですが、それはなぜですか。RazさんはCPS2についてはかなり知っているわけですから、エミュレータを書くことは難しくないと思うのですが。

エミュレーションのプログラミングということで言えば、僕や他のCPS2-Shockチームの人よりもはるかに経験豊かな人たちがたくさんいます。結論としてエミュレータを書かないというのではなくて、僕がやるのよりもはるかにいい仕事をする人がいるだろうということです。どっちにしてもエミュレータをまっさらの状態から書き始める必要はないと思っています。CPS1エミュレータやドライバをちょっと改良すれば、CPS2ゲームを走らせることは難しくありませんから。

過去、今、そして将来のエミュレーション「シーン」についてどのように考えていますか?

過去は僕が昔ゲーセン好きだったゲームが次々とエミュレートされて、それは感動的なものでした。例をあげれば「スペースインベーダー」や「フロッガー」「パックマン」「Mr.Do」「ボンジャック」などです。今についてですが、もし僕がもっと若ければ実際よりももっとよい視点から眺められたかもしれません。もちろん、僕がエミュレートされて欲しいと思っているゲームのほとんどは、CPS2以外ですから。あと、これから将来のことについてはわかりません。これから先エミュレートされるゲームは、アーケードゲーム会社が左右するものですから。

CPS2エミュレータがリリースされることは「問題ないこと」だと思いますか?

もちろん、全く問題ありません。世に出ている他のエミュレータと同じ位、安全なことです。エミュレーションは、私が一番最後に調べた時点でも今だになお合法的なものです。もしかしたら皆さん気になっていることかもしれませんが、これまでにCapcomからは一通のメールも来ていません。

お気に入りのゲームはありますか。またそれはなぜですか?

これはズバリ「ボンジャック」です。1984年に初めてゲーセンでこれを見たときには興奮しました。 最近ではもしかしたらこのゲームが実際にはどのくらい古いものか気づいていない人もいると思います。 グラフィック、ミュージック、どれをとっても素晴らしく、完全にはまってしまいます。

CPS2基板はどのくらいお持ちですか?

個人的に持っているのはストリートファイターZEROの一枚です。あとバンパイアセイバーの基板をSteveさんから寄付してもらいました。いずれこれが廃れれば、もっと寄付して頂けると思います。

CPS2の解読が終わったら次は何に取り組みますか。エミュレータを書くとか?

いいえ、エミュレータを書くということはまずありません。恐らく、まだ未知のCPS3を調べるかもしれません。ただしCPS2についてもまだやることはたくさん残っていて、今のように解読済みのROMからという形ではなく、きちんとした形で暗号を解くようにしたいと思っています。

最後に何かありますか

全てのエミュレータ作者さんたちのすばらしい働きに感謝したいです。そして他の方々もすばらしい。それでは皆さん、よいクリスマスをお過ごしください。

元記事