-1,532ものゲームをエミュレートするMAME-
Tue Feberuary 24th, 2000
ニュース元:emuverse
コンピュータの使い道というのを想像してほしい。その最もいい例を挙げてみよう。豪邸に住んで、その壁にフラットパネルモニタがあるとする。もちろんLinuxで動いている。それもとんでもなく高速にだ。さてそれからどうしようか。そうだ高度な文化を大いに楽しむとしよう!それが何かわかるだろうか。そうゲームである。しかもあなたが今までやってきたものよりも、ビッグで面白いものだ。ではそれはどのようなゲームか。それはアンティークゲームであり、ビンテージゲームであり、いわゆる熟成した珍品である。これらは単なるゲームという枠を超えて、ゲームセンターやピザパーラーなどでかつて25セントでプレーできたころから私達と一緒に育ち、ひとつの文化的存在となっている。ご存知の通り、ソフトウェアは大きな成長をとげてきた。老いて死にゆく人間とは違い、コンピュータプログラムというのは年を重ねるごとにそのパワーを増してゆくものだ。そしてダブルコンパイルされシリコンという名の樽の中で何年もの時を過ごし、ビットは圧縮され技術革新は続く。そしてより強大な半導体資産として残されてきた。名作といわれるビンテージゲームはviよりも遥かに面白い。
しかしである。大抵のアーケードマシンは6502、または68000(と他のCPU)がベースとなっている。とにかくx86ではないのだ。それではどうやってこれらのプログラムを走らせればいいのか、そしてこれらのコードはどこから手に入れればよいのだろうか。幸運なことにも1997年、Nicola Salmoriaという名のクールなイタリア人ハッカーが、クラシックゲームを保存するため、古いハードウェアのエミュレータ開発のプロジェクトを開始した。本来の目的とは離れ、それは世界中で楽しまれ、共有されるに至った。MAMEはこの短い期間で、1,000を超えるゲームをサポートするまでに成長し、最新のものでは1,951ものゲームがプレイ可能だ。
MAMEは、Xまたはコンソールモードでプレイできる。さらにDOSやMacintosh、Amigaなど他のプラットフォームでも利用可能だ。複雑なゲームで最高のパフォーマンスを得るには、相当高速なマシンが必要だが、ゲームが古くなればなるほど、プロセッサへの負担は軽くなる。もしハードウェアに関して不十分なことがあったとしても、よりよいコンピュータカルチャーの基礎というものを楽しむことができる。
MAMEの唯一の問題は、それが単なるエミュレータであるということだ。すなわちROMイメージを持っていない。プレイするにはROMを手に入れなければならないが、これらを複製することはどう見ても違法行為(重罪)である。その結果、これらのROMはあからさまに公開されることはなく、Web上を極秘裏に探しまわらなければならない。しかし幸いにも、巨大なROM保有サイトは簡単に見つけることができる。Dave's Classicsでさえかつては最も完成されたROMサイトとして知られていたが、ここ2、3年は、ROMをオフラインにするように圧力を受けているようだ。大手ゲーム会社はこれらROMについて困惑している。この原因は恐らく、エミュレーションが最終的にこれらの会社の現行のコンソールゲームを取りこんでしまうのではないかと見ている(または、彼らがオールドゲームの方がゲーム性が優れていると確信している)からだろう。いずれにせよ、まったく欲の皮のつっぱったことだ。これら大手ゲーム会社の多くが、エミュレータの存在自体を違法なものにしようと手段を講じているが、これらは「モラル」や「道徳」を根拠にした議論を間違いであるとするような支配権の乱用だろう。なぜならば、会社や経済的な気まぐれによって、市民としての自由を人質にされることは道徳に反するし、極悪非道で倫理にもとる奴には、他人を非難し、モラルを押しつける権利などはほとんどないと思われるからである。それでも以前、圧力団体がMPEGを違法なものにしようと試みていた。理由は簡単だ。レコード業界が金を失うからである。技術的な本当の意味合いについての理解無しで、さらなる効率化を実現するアルゴリズムが非合法化されてしまえば、それが人としての自由に関わってくることは言うまでもないだろう。
[後編へ続く]