2ヶ月ぶりで、MAME 0.262 のリリースです。今回も色々な面でエキサイティングな内容になってます。まず、MAME コアによる、コンパクトカセットメディアイメージの FLAC 圧縮、ZIP アーカイブと CHDディスクイメージの Zstandard 圧縮をサポートしました。互換性を最大にするため、chdman はデフォルトで Zstandard 圧縮を使用しないようになっているため、ディスクイメージの作成や変換時に使用したい場合は有効にする必要があります。また、unidasm ではオフセットを 16 進数または 8 進数で指定できるようになっています。
Rick Dyer氏がデザインした3本のレーザーディスクゲームが動作可能です: 日本語版「タイムトラベラー」、コンソールからアーケードへの移植版「Thayer's Quest」、そして「Don Bluth's Drangon's Lair」です。ディスクの劣化やプレス不良を解消しドロップアウトをすべて取り除くため、複数の LD キャプチャを組み合わせていくのをみるのは大変エキサイティングですね。
前リリースに続き、MAME ではセガのキッズコンピュータ・ピコと同じ技術をもとにした「テレビとお茶犬」システムをサポートしました。これは、お子様向けにデザインされた遥かにシンプルなシステムで、バーコードカードを使ってミニゲームを起動するものです。またセガからは、AI コンピュータのサポートが追加され始めました。えーと、AI といっても今流行りの人工知能とは関係なく、ペンタブレットが特徴のカートリッジとコンパクトカセットメディアを使用する、1986年のほとんど無名のシステムとなります。
カシオのフェイズディストーションシンセサイザがさらに2種類追加されています: CZ-230S キーボードとレアな SZ-1 シーケンサです。CZ-2230S にはサウンド編集機能はありませんが、プログラマブルドラムマシン(PCMサンプル使用)とシーケンサが追加されています。また、シンセサイザのエミュレーションでは、MAME の Wave Blaster ホストドライバで、カシオ、サムスン、ヤマハの複数のシンセサイザーモジュールをサポートしました。他の音楽関係のニュースでは、加藤製作所の非常に無名なリズムゲーム「三味線ブラザーズ」のオリジナルバージョンが、完全に吸い出されてエミュレートされています。
タイトー「奇々怪界」のマイコンプログラムが最近吸い出されています。これにはかなりのゲームロジックが含まれており、これまで MAME で使ってきたシミュレーションコードを引退させ、正確なエミュレーションを保証できるようになりました。富士通 MB8841 エミュレーションの改良により、サン電子製「アラビアン」に長くあった問題が修正されています。さらに、HT1130 マイコンがサポートされ、安価なハンドヘルド"ブロックゲーム"がエミュレートできるようになりました。ただしサウンドはいまのところありません。
今回はチェスコンピュータエミュレーションのビッグリリースとなっています。Hegener + Glaser、Novag、Saitekなど、みなさんお好みなブランドのチェスコンピュータが新たにサポートされ、既存サポートシステムのバージョンも増えています。また、SaitekとTryomのバックギャモンコンピュータもいくつか追加されました。
最後に、Mattel Aquarius のアラビア語バージョン、Apple II ファミリーの 8 インチフロッピードライブコントローラ、Aristocrat Leisure 製ギャンブルシステムが多数動作するようになり、ソフトウェアリストもかなり更新されたうえ、コードがかなり近代化されました。 whatsnew.txt ファイルで2ヶ月分の開発内容をすべて読むことができます。また、ダウンロードページでソースコードと 64ビット Windows バイナリパッケージをゲットできます。